Raspberry Pi で表示器を作る

さきラボでは制御ソフトや制御システムの開発を承っております。

制御の業界で表示器と言えば、デジタル、ファナック、キーエンス、オムロン、三菱電機など…様々なメーカーから数多くの製品が販売されています。既存の表示器には実績もあり、十分な信頼性や色々と便利な機能もあるのですが、それにしても高価です。

既存の表示器には価格以外にも問題があります。画面のデザインに専用ツールが必要だったり、画面の表現力が一般的なWebブラウザに遠く及ばなかったりします。

今は2万円も出せば7インチのAndroidタブレットを購入できる時代です。お客様が「簡単に安く、できるだけ沢山の表示器を設置したい」と考えるのは自然なことだと思います。

さきラボでは今回、お客様から実際にそのような要望を受け、Raspberry Pi を利用した表示器を提案、開発させていただきました。今時のユーザー感覚にちょうどいい品質、価格、生産性、表現力などを備えた表示器の作り方について、この記事ではその概要を紹介してみたいと思います。

Raspberry Pi を採用した理由

Raspberry Pi の採用を決める前にはタブレット端末についても検討していました。タブレット端末を採用しなかった理由は「ブレーカーを落として電源を切る/ブレーカーを上げて電源を入れる動作ができなかった」ためです。

BeagleBone Black や、その他のシングルボードコンピューター、Windows Embedded 製品も検討しましたが、価格、性能、品質、製品の供給安定性、開発効率などを総合的に判断した結果、さきラボでは Raspberry Pi を採用するのが適切であると判断しました。

ブラウザで表示する

工場向けの表示器は PLC (プログラマブルロジックコントローラ) と通信しながら画面を表示するのが一般的です。さきラボの表示器では以下のような構成で PLC との通信および画面の表示に対応しています。

  • PLCとの接続:USBシリアル変換ケーブル
  • PLCとの通信:PHP
  • 画面の作成:HTML5
  • 画面の表示:Webブラウザ

画面の表示にWebブラウザを採用したことで、HTML5 による柔軟な画面デザインや動きの表現が可能になりました。ブラウザの選定にあたっては長時間連続で稼働させた場合の安定性、日本語フォントへの対応、フルスクリーン動作への対応などを評価しました。

電源断に対応する

工場向けの表示器では「いきなり電源が切れても壊れない」という性能が必要不可欠です。

突然の電源断で壊れる可能性があるのはファイルシステムです。ファイルなどの書き込み中に電源が落ちると、ファイルシステムに致命的な不整合が発生する可能性があります。

この問題に対応するために、大きく二つの方法があります。「ファイルシステムをリードオンリーにして書き込まない」という方法と、「突然の電源断に対応した安全な書き込み処理方法を採用する」という方法です。さきラボでは後者の方法を採用しています。

  • ファイルシステムに Btrfs を採用
  • 突然の電源断に対応したSDカードを採用
  • 運用中の書き込み処理をほぼゼロにする

長期の運用に備える

Raspberry Pi を利用した表示器は、一般的なソフトウェア開発の知識があれば作ることができます。しかし、誰が作っても同じものができるわけではありません。

さきラボでは制御ソフトや制御システムの開発経験を活かし、何年でも安心して運用できるシステムやソフトウェアの開発に取り組んでいます。

  • 現場で手早く調整できるシステム構成
  • エラーを見つける制御とデザイン
  • エラー状態から自動的に回復する処理

お問い合わせください

既存の表示器と比べると、さきラボの表示器はとても安価なハードウェアで実現されています。表示器を複数台設置する場合には大幅なコストダウンが可能です。Ethernet や 無線LAN での通信も考慮されており、PLC 以外の機器との接続や、工場以外のシーンにもご利用いただくことができます。

さきラボの表示器はスタンドアロンで簡単なデモも可能です。ご興味ご関心のある方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

この記事の投稿者

崎 洋佑
崎 洋佑プログラマーもどき
さきラボの代表取締役。自称プログラマーもどき。
開発でよく使う言語は日本語。
IT技術よりも人が好きな、天然物のエンジニアです。
文書を電子化する