時刻を合わせる
工場の制御ソフトやシステムの開発では「時刻のないシステム」をよく見かけます。
パソコンや PLC (シーケンサ) に時計がない、という話ではありません。パソコンや PLC やタッチパネルにはそれぞれ時計 (RTC、リアルタイムクロック) が内蔵されています。
「時刻のないシステム」とは、システム内でいくつもの時計がバラバラに動いていて、システムとしての時刻がよくわからない状態になっているシステムのことです。
いま何時?
システムに不具合が発生したとします。不具合が発生した時に専門家が現場にいればいいのですが、そんな幸運は滅多にありません。
不具合について調査が必要になった時、頼りになるのは動作ログや異常履歴などの記録です。ところが「時刻のないシステム」の場合、記録の時刻が曖昧です。パソコンと PLC とタッチパネル、それぞれの時計をまず確認しなければなりません。時差の計算も大変で、ミスの元になります。
記録の時刻が正確であれば、記録の確認は簡単で確実になります。
ネットワークと時刻
最近のパソコンやスマートフォンには、インターネットや携帯電話の電波を利用して時刻を合わせる機能が備わっています。そのため最近のパソコンやスマートフォンは故障でもない限り、そう簡単に時刻はズレません。
しかし、工場のシステムでは話が違ってきます。工場内はインターネットや携帯回線から隔離されていることが多く、そのままでは時刻合わせができません。さらに、工場のシステムは何年もの間動き続けるので、気づいたときには時計が何時間もズレていたということになってしまうのです。
工場内で時刻合わせする方法
インターネットに繋がっていない環境でも、GPS、電波時計、原子時計などを利用することで正確な時刻を知ることが可能です。GPS タイムサーバーは10万円程度から購入できるほか、パソコンや Raspberry Pi 等で構築することもできます。
時刻を合わせるだけなら、タイムサーバーを購入すれば話は終わりです。しかし、実際のシステムでは「動作中に時刻を変更すると誤動作するプログラム」が存在する可能性があり、注意が必要です。プログラムの誤動作を避けるために、例えば Windows PC であれば Windows Time サービスの設定を調整する必要があります。
生産性の向上を目指して
システム内の時計を合わせることができれば、システム内の時刻は「正しい時刻」になっていると言えます。
システムに「正しい時刻」があれば、複数の設備や生産ラインを同じ時間軸で分析することが可能です。ストップウオッチで部分的に作業時間を分析するのとは別の方法で、生産性向上のヒントを見つけることができるようになります。
また、「正しい時刻」を利用して、離れた設備やラインで動作を合わせることも簡単にできます。
さきラボのシステム開発では、システムの時計を合わせることはもちろん、正しい時刻によって可能となる情報収集や分析など「生産性の向上につながる仕組み」についても提案、構築を行っています。
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