さきラボでは、市販のシングルボードコンピューターを活用したシステムの開発を得意としています。

「ラズパイを使ってみたけど上手くいかなかった」とか、それ以前に「やりたいことはあるのに開発の進め方が分からない」などといったお悩みはありませんか。もしかしたら、さきラボで解決できるかもしれません。

市販品の品質

Raspberry Pi や BeagleBoard をはじめとする市販のシングルボードコンピューターはかなり高品質です。適切にセットアップすれば、FA (Factory Automation) 環境でも長期安定動作を実現することができます。

工場での実績

さきラボでは10年以上前から、大工場の生産ラインで、シングルボードコンピューターを活用したシステムの開発に取り組んでいます。以下のような実績があります。

  • 各種作業案内システム
  • IoT システム
  • バーコード、QR コード、DataMatrix など 2D コード読み取りに対応したシステム
  • 軍手でも操作しやすい専用キーボード対応のシステム
  • 深度カメラと画像処理による作業確認システム
  • 音声による通知に対応したシステム など

FA 対応のセットアップ

さきラボでは、以下のようなセットアップによって、FA 環境での長期安定動作を実現しています。

ケース

ケースを選定する上で気をつけるポイントは以下の3点です。

  • 現場の静電気や放射ノイズに対して十分な耐性があること
  • 十分な放熱能力があること
  • DIN レールに対応していること

さきラボでは、大きく3つのパターンで対応しています。

  • 金属製の、ヒートシンク一体型ケースを利用する方法
  • 樹脂ケースと専用のヒートシンクを利用する方法
  • ブラケットで固定する方法

ファンレス

一般的な小型 DC ファンの期待寿命は 2万時間 ~ 7万時間程度です。24時間連続稼働した場合には数年で故障する可能性があります。

ファン冷却を前提としたシステムは、ファンの故障により動作を継続できなくなる可能性があります。最悪の場合、単純な故障よりも危険な「不安定な動作」になる可能性もあります。

さきラボでは、放熱能力の高いケースを使わない時には「自然空冷専用設計のヒートシンク」を利用してファンレス構成にすることで、障害点を増やさないようにしています。

電源

一般的な AC アダプタの期待寿命は 3年 ~ 5年程度です。

さきラボでは、期待寿命が10年程度のスイッチング電源を低い負荷で動作させることで、電源の期待寿命が10年を大きく上回るようにしています。

電源の安定性はシステムの安定性に直結します。適切な電源の選定は、システムの寿命をのばすだけでなく、長期安定動作する上での重要な基礎でもあります。

microSD カード

FA 環境の microSD カードには、以下のような性能と機能が求められます。

  • ウェアレベリングと、十分な書き込み耐性
  • オートリフレッシュと、十分なデータリテンション
  • 書き込み中の停電等に対する保護機能

FA 環境には、一般向けには市販されていないグレードの産業用 microSD カードが必要です。単に耐久性の高い microSD カードや、一般的な eMMC では、上記の要件をクリアできません。

OS

シングルボードコンピューターと言えば Linux です。Linux にも色々ありますが、以下の要件を全て満たすディストリビューションは多くありません。

  • 対象となるシングルボードコンピューターを正式にサポートしているもの
  • 少ないリソースで動作するもの
  • 特殊な要件が少なく、アプリ等の開発がしやすいもの
  • 日常的なアップデートで大きな仕様変更が発生しないもの
  • 長期間の運用に耐えられる、サポート期間の長いもの

さきラボでは、基本的に Ubuntu LTS ベースのディストリビューションを採用しています。

ファイルシステム

FA 環境では、シャットダウン操作なしで電源を落とすことが珍しくありません。この時、ファイルシステムが ext4 の初期設定になっていると、信頼性の高い microSD カードを利用していても論理破壊を免れることはできません。

この課題に対して、さきラボでは、ファイルシステムを Btrfs に変換することで対応しています。boot 領域のマウントオプションについても最適化しています。

カーネルパラメーター

一般的なカーネルパラメーターの初期設定は、I/O エラーやメモリ不足になっても可能な限り動作を続ける「不安定な動作を許容する設定」になっています。パソコンとしては使いやすい設定ですが、制御の世界で「不安定に動く」というのは非常に危険なことです。

さきラボでは以下のような設定を適用しています。

  • TCP の各種タイマーを最短にする設定
  • 回復不可能なエラーが発生した場合にカーネルパニックを発生させる設定
  • メモリ不足になった場合にカーネルパニックを発生させる設定
  • カーネルパニックが発生したらシステムを再起動する設定

デスクトップ環境

さきラボでは、デスクトップ環境に Lubuntu (LXQt) を利用しています。画面表示は Web で実装することが多いため、ブラウザとして Firefox ESR もセットアップします。Firefox はそのままだとシステム構築には使いにくい部分があるため、いくつか設定をします。

  • policies.json によるポリシー設定を適用
    • アップデートを停止
    • 各種通知を停止
    • ディスクキャッシュ無効化 など
  • 必要に応じて、独自の機能拡張をインストール

リモートメンテナンスに対応するため、x11vnc もセットアップします。

その他のソフトウェア

実際のセットアップでは、他にも色々と細かいことがあります。Web サーバーやデータベースなど、追加ソフトウェアのセットアップもあります。不要なサービスを停止したりもします。最新の OS にも対応したいところです。

FA の中の IT

さきラボの提案するシステムの多くは「FA の一部として IT を活用する」という考え方で作られています。シングルボードコンピューターはシステムの主役ではなく、助演または脇役として活躍します。

PLC との連携

さきラボのシステム開発では、原則として、接点による入出力を PLC に実装しています。

この場合、非常停止、運転条件、自動/手動切り替え、結果出力など、主要な動作は PLC に実装されます。安定した制御と、保全による一次対応が実現する、現場で運用しやすいシステム構成です。

  • シングルボードコンピューターの処理は C# または Python で実装
  • 画像処理、通信処理、その他のデータ処理の結果を PLC に同期
  • データの同期は通信で、更新速度は 20Hz ~ 50Hz 程度
  • PLC は国内外メーカーを問わず対応可能
    • 三菱、オムロン、パナソニック、キーエンス、FANUC など実績あり

制御盤への対応

さきラボの提案するシングルボードコンピューターは、クーラーなしで制御盤内に設置できます。

  • 周辺温度 0℃ ~ +55℃ に対応
  • DIN レールによる設置に対応
  • 電源やネットワーク機器も同じ条件で設置可能

お気軽にご相談ください

さきラボでは、ソフトウェアもハードウェアも、IT も FA も、幅広い技術と知識を組み合わせて、お客さまのシングルボードコンピューター活用プロジェクトをサポートしています。プリント基板の開発、ネットワークの構築、PLC ラダーによる制御ソフトの開発など、一般的な IT 企業の枠を大きく超える対応も可能です。

相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。