労働基準法における労働者の「働かされ方」

労働基準法において、労働者は使用される者、つまり「働かされる人」であると定義されています。

(定義)
第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

もう少し具体的に確認してみましょう。例えば、労働時間については以下のように定められています。

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

フレックスタイム制などの例外規定はありますが、何れにしても「使用者は・・・労働させてはならない」というのが労働基準法の定めです。労働者が労働してはならないとは定められていません。

労働基準法によって認められていることは、労働者が「働かされ」「休ませてもらって」「休みの時間には自由に過ごす」ことです。労働者が主体的に「働く」ことは認められいません。

とは言え、労働者が主体的に働くことを禁じられているわけではありません。「労働者が主体的に働くことは想定されていない」というのが、労働基準法の現状です。

現実的な「働かせ方」

Joel の考え方

今から20年前、Joel Spolsky 氏が提唱した「Hitting the High Notes (日本語訳: ソフトウェアにおける高音域)」という考え方があります。

Joel 氏の考え方をまとめたのが以下の図です。「凡庸なプログラマーを何人集めても最高のソフトウェアを作ることはできない。だから、最高のプログラマーを雇わなければいけないんだ。」という話です。

flowchart LR
A[最高の
仕事環境]
B[最高の
プログラマー]
C[最高の
ソフトウェア]
D[最高の
収益!]
A --> B --> C --> D

style D stroke:#444,stroke-width:3px,font-weight:bold

この考え方には一つ大きな欠陥があります。それは「最高のプログラマーを見分けるのは、最高のアイデアを見分けるのと同じくらい難しい」ということです。Joel 氏自身は最高のプログラマーを見分けることができていたようですが、それは、Joel 氏自身がソフトウェア開発者だったからでしょう。

シンプルで分かりやすい考え方ですが、ソフトウェアもプログラマーも重視していない日本の IT 企業がこの考え方を参考にするというのは、あまり現実的ではありません。

日本企業の考え方

日本には日本の事情があります。終身雇用を前提とした雇用慣習です。終身雇用を続けている会社は少ないものの、未だにそれは神聖視されていて、法制度は維持されています。日本企業において、従業員の解雇は非常に難しいというのが現実です。

大多数の日本企業では、一定の条件を満たせば誰にでもできる属人性のない仕事が「いい仕事」であると考えられています。誰にでもできる仕事なら、配置換えや増員ができるので、従業員の解雇を回避できる可能性があるという考え方です。仕事が変わらずに規模が大きくなるのが、日本企業にとっては理想の姿であると言えます。

flowchart LR
A[規則正しい
集団行動]
B[属人性のない
定型労働]
C[規模拡大による
大量販売]
D[大きな
収益!]
A --> B --> C --> D

style D stroke:#444,stroke-width:3px,font-weight:bold

この考え方で重要なのは「変わらないこと」です。新しい IT 技術の中には、組織の体制を変えてしまうようなものもあります。技術の人が対応できても、営業の人や人事の人は対応できないかもしれません。国内 IT 企業が新しい技術を採用できないのは、それをすると組織に必要な人員が変わってしまって、従業員の解雇という最悪のイベントが発生する可能性があると考えられているためです。

さきラボの「働き方」

さきラボの考え方

大前提として、さきラボでは、仕事の主体が技術者(労働者)にあります。会社を設立した代表の崎が「技術者として仕事をしたい」「技術者の仕事には価値がある」と考えているため、そのような構造になっています。

flowchart LR
A[個人を中心とした
仕事環境]
B[個性のある
システム開発]
C[技術者らしい
成果物!]
D[ほどほどの
収益]
A --> B --> C --> D

style C stroke:#444,stroke-width:3px,font-weight:bold

さきラボは、収益のために設立された会社ではありません。さきラボの構造が大多数の会社と大きく異なっている理由は、そもそもの目的が異なっているためです。

技術者の仕事

さきラボは「技術者らしい仕事」という、仕事そのものを目的としている会社です。

さきラボでは「人と社会をより良くすること」を事業の目標として掲げています。しかしそれは、私たちの一面に過ぎません。私たちは技術者であり、本質的には「技術で世界をより良くすることが好き」なのです。

観客に感動を届けようとする歌手が、より本質的には歌うことが好きだというのと同じことです。

個性の重要性

世の中には既に多くのシステムやノウハウがありますが、それだけで全ての課題を解決できるわけではありません。

さきラボの考える「技術者らしい仕事」は、既知の方法では解決できない「何をどうしたらいいのか分からないような課題」に向き合い、それを解決する仕事です。既知の方法ではない「新しい何か」を見いだし、形にする仕事です。

個性は「新しい何か」の根源です。

個性がなかったら誰がやっても同じ、既知の方法と同じような結果になってしまいます。それは、さきラボの考える「技術者らしい仕事」ではありません。技術者らしい仕事をするために、個性は重要なのではなく、必要不可欠なものなのです。

チームワークという幻想

「三人寄れば文殊の知恵」は幻想です。

労働基準法にも定義されているように、殆どの会社は「労働者を働かせる体制」になっています。「労働者は組織の一部」なのです。この認識が、人を強制的に「集団行動モード」にします。「三人寄れば集団行動」というのが現実です。

集団行動は「没個性化」「集団思考」「リンゲルマン効果」「傍観者効果」「機能的固着」「フレーミング効果」などの心理的作用を引き起こします。また、人の集団(群れ)には生物学的な「順位制」もあります。群れのメンバーは「権威への服従」によりボスに従います。メンバーが個性を発揮することはできません。

日本企業が集団行動を前提としているのは、労働者の能力を引き出すためではありません。逆です。労働者の能力(個性)を抑圧することで「誰がやっても同じにする」というのが、日本企業のやり方です。各種法令が、そのような体制を強力に後押ししています。

シンプルなロジック

さきラボの「働き方」は、人として当たり前のことを実践しているに過ぎません。

  • 技術者らしい仕事をするためには個性が必要です。
  • 人が個性を発揮するためには集団行動を避ける必要があります。

別の角度から考えてみましょう。

  • 集団行動を避けると、人の個性が発揮されます。
  • 人の個性が発揮されると、技術者らしい仕事につながります。

集団行動を避けるためには、個人が主体となって仕事に取り組む必要があります。会社が技術者を「働かせる」体制では、これを実現できません。だからと言って、会社が技術者に対して「主体的に働け!」というのは本末転倒です。これについて、さきラボでは「会社が技術者を働かせることが困難になる仕組み」を導入することで、半ば強制的に「技術者個人を中心とした仕事の流れ」を構築しています。

これを図にすると、以下のようになります。

flowchart LR
A[個人を中心とした
仕事環境]
B[個性のある
システム開発]
C[技術者らしい
成果物!]
D[ほどほどの
収益]
A --> B --> C --> D

style C stroke:#444,stroke-width:3px,font-weight:bold

最初の図に戻ってきましたね!

ちなみに、収益がほどほどにしかならないのは、以下の理由によります。

  • 集団行動を避ける体制では人数を増やせません。規模が小さいので、大きな収益にはなりません。
  • 技術者らしい仕事が必要とされる機会は多くありません。機会が限られているため、大きな収益にはなりません。
  • 私たちは収益のために仕事をしているのではありません。収益を重視していないので、大きな収益にはなりません。

さきラボの「働き方」について、基本的なところはご理解いただけたでしょうか?

普通ではないところ

休日と労働時間

さきラボの休日と労働時間は、以下のように定められています。労働基準法の範囲内で、可能な限り集団行動になりにくく、会社が従業員を働かせることも難しいように設計されています。

  • 休日は「会社の定休日 (3勤1休) + 月に2日の追加休日」を標準として、自由に追加、振替、削減することができます。
  • 労働時間は 5:00 ~ 22:00 まで、コアタイムなしのフレックスタイム制です。1日の最低労働時間は 0時間、休憩や中座の制限はありません。
  • 休日や労働時間について、会社が労働者に対してできることは「相談すること」だけです。いつどのくらい働くのかは従業員が決定します。

このくらい柔軟な制度を運用することで、ようやく「休日や労働時間は人によって違うのが当たり前」という状態を作る事ができます。集団行動を避ける、最初の一歩です。

一人屋台方式

休日と労働時間を柔軟にしても、仕事の内容が集団行動を必要としていたら、元も子もありません。

さきラボでは、集団行動を必要としない独自の開発体制である「一人屋台方式」で、システム開発に取り組んでいます。「一人屋台方式」は、システムの提案から実装まで、一つの案件を一人で担当する、個人を中心とした開発体制です。

  • 個人のスキルセットで全体最適をするため、コミュニケーションロスのない高効率な開発が可能です。
  • その気になれば営業も事務も、案件のほぼ全てを一人で進めることができるようになっています。

それで、本当に一人で案件を片付けられたらそれでもいいのですが…現実はそんなに上手くいきません。技術力が足りなかったり、時間が足りなかったりした時には、周囲に相談したり、協力を求めたりする必要があります。

通勤時間制限

「集団行動ではない働き方」を実践するためには「いつでも相談できる環境」が極めて重要です。

いつでも相談できるというのは、ただ連絡がつけばいいという話ではありません。例えば、お客様から『面白いものを持っているので見てほしい。ちょうど外に出ていて、30分後くらいにそちらへ行けると思う。』という連絡があったとします。この時、あなたは通勤時間60分の人に声をかけるでしょうか? 通勤時間20分の人ではどうでしょうか?

さきラボでは、集団行動を回避するために「休日も労働時間も人によって違う働き方」を実践しています。働き方が人それぞれに違っても、通勤時間が十分に短い場合には「何かあったその時に相談して調整する」ことで、お互いに協力することができます。

しかし、通勤時間が長くなると、この調整ができなくなります。事前に決められたことしかできない、技術者らしい仕事ができない、さきラボの仕事ができない状態になってしますのです。参考までに、さきラボの実績では、通勤時間40分を超えると、優秀な IT エンジニアでも調整が難しくなることが分かっています。

改善は続く

さきラボでは、今の時点でも既に、労働基準法の想定を超えるような「柔軟な働き方」を実践しています。しかし、まだ完成形だとは思っていません。

私たちは、私たちと一緒に、より良い働き方を追求していける仲間を募集しています。

お気軽にお問い合わせください

さきラボは「技術者の会社」です。技術者を中心とする働き方で、IT と FA、ソフトウェアとハードウェア、ネットワークと無線など、幅広い技術とノウハウを組み合わせたシステムの開発に取り組んでいます。

さきラボでは、全てのお問い合わせに技術者が対応しています。

お困りごとのご相談、働き方に関するご質問、サイトへのご提案など、何でもお気軽にお問い合わせください。

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