結論:新しい価値を生み出す会社を作ることはできます。ただし、小さな会社になります。

チームではできないこと

日本では、零細企業から大企業まで、多くの会社が「チームで仕事をする」という働き方を採用しています。それは、新しい価値を生み出すことができない仕事のやり方です。

  • ヒトは群れで生きる動物です。ヒトには、群れで生きるための本能があります。
  • チームで仕事をするタイプの会社には、群れとしての性質があります。
  • 群れの中にいると、ヒトは、本人の意図とは関係なく集団行動をします。
  • 集団行動をすると、ヒトの個人的な能力は著しく低下します。

ヒトが集団になった場合の振る舞いについては、心理学や社会学の実験で古くから確認されています。「傍観者効果」「リンゲルマン効果」「アッシュの同調実験」などが有名なところでしょうか。

新しい価値を生み出すためには「新しい発想」が必要ですが、発想というのは個人的な活動です。個人が発想して、その発想をチームに共有することはできますが、チームが発想することはできません。

集団行動を避ける

新しい価値を生み出すためには、個人が能力を発揮する必要があります。個人が能力を発揮するためには、チームで仕事をする働き方を避ける必要があります。

さきラボでは、以下のような考え方により、チームではない働き方、集団行動ではない働き方を実践しています。

  • 集団で行動することを避ける → 分業しない開発体制
  • 群れとしての性質を抑える → 極めて柔軟な勤務体制

分業しないというのは、できるだけ一人で何でもやるということです。実際、さきラボの開発者は営業や事務の仕事にも幅広く対応しています。個人で完遂できる仕事の範囲が広がれば、集団行動を減らすことができます。

しかし現実には、分業を減らすだけでは集団行動を避けられません。例えば「お互いに面識のある人がいつも同じ場所にいる」とか「自分の時間や場所が他の誰かと同じように管理されている」などの条件下では、ヒトは自分が群れに属していると感じるため、集団行動をしてしまいます。

逆に言えば、時間や場所を管理されていると感じられない状態、いつ誰がどこにいるのか分からない状態を作れば、集団行動を避けることができます。さきラボの場合は労働基準法ギリギリの柔軟な勤務体制により、これを実現しています。

通勤時間を制限する

個人の能力を最大化するだけで、いい仕事ができるわけではありません。

新しい価値を生み出す仕事をするということは、新しいことに挑戦するということです。思いがけない発見や成果、失敗も珍しくありません。予定できない様々な状況に対応するためには、組織の力も必要です。

集団行動ではない働き方で組織としての力を発揮するということは、普段チームを組んでいない組織のメンバーが「何かあった時だけチームとして動く」ということです。

「何かあった時だけチームとして動く」という体制を実現するためには、社内での「日常的な会話」と「柔軟なスケジュール調整」が必要不可欠です。日常的な会話と柔軟なスケジュール調整ができていると、例えば「ちょっと○○の実装に行き詰まってるんだよね…」という話から「それなら私が30分後に出社して対応するよ」という感じの動きができるようになります。

この時、どうしても無視できないのが「通勤時間」です。例えば、通勤時間が20分の人と60分のシステム開発者を比べた場合、さきラボの実績では、何かあった時に対応できる程度が5倍~10倍くらい違っていました。

集団行動を避ける働き方では、通勤時間が倍になった場合に、組織としての力が半分以下に低下する可能性があります。逆に言うと、通勤時間を短く制限すれば、個人の力も組織の力も発揮できる体制を作ることができるのです。

規模拡大はできない

通勤時間を制限する場合、単純計算では、通勤時間(≒距離)を半分にすると、働ける人の母数(≒通勤可能なエリアの面積)が 1/4 になります。

東京では、通勤時間が90分を超える人も珍しくありません。上限は120分程度でしょうか。これに対し、さきラボで許容できる通勤時間は過去の実績から、開発者の場合で30分を上限としています。これは、一般的な会社に通勤可能なエリア(120分圏内)の面積を 100% とした場合、さきラボに通勤可能なエリア(30分圏内)の面積がわずか 6.25% であることを意味しています。

通勤時間を制限すれば、それだけ採用は困難になります。普通は20人の候補者が集まる条件でも、さきラボでは通勤時間の制限により1人しか候補者を集められないことになります。この数字だけでも、人を増やすことが困難だと分かります。そして、実際の採用にはさらなる困難があります。

  • 新しい価値を生み出す仕事には、ありきたりな会社での業務経験が通用しない
    → 経験者を前職と同程度の条件で採用できない
  • 新しい価値を生み出す仕事では、一人一人に合わせた仕事や働き方から作る必要がある
    → 仕事できるようにするのが大変で、同時に何人も採用できない

新しい価値を生み出す会社を作ろうとした場合、求人が非常に難しいことを覚悟しておく必要があります。100人規模の会社を作るくらいの感じで求人を頑張れば、5人くらい採用できるかもしれません。そのくらい大変です。

結果は数年後に

小さな会社には小さな会社のメリットがあります。一人一人が自分らしい働き方を実践できるとか、一人一人が開発の主役になれるとか、面白い仕事を選べるとか…技術者にとっては理想的な環境だと思います。そもそも、さきラボという会社は、技術者が気分よく働ける環境を実現するために作られた会社なので、当然と言えば当然です。

あとは求人が上手くいくのかどうか。2023年8月現在、さきラボでは、この記事に書かれていることを実践する新しい体制作りのため、全力で求人に取り組んでいます。3年後に5人くらいの会社になっていたら大成功、3人くらいでも悪くない結果だと思います。

数年後の結果をお楽しみに。

もしあなたが30歳未満のエンジニア未経験者で、技術者として仕事をして技術者として成長したいと考えていたら、さきラボで働くことを検討してみてください。さきラボでは、通勤時間制限に対応するための引っ越し手当や近隣住宅手当も用意して、一緒に働く仲間を募集しています。